佐倉、松林寺と土井利勝公

松林寺(しょうりんじ)は、佐倉市の地方裁判所の向かいにあるお寺です。少林寺とヨミは同じですが、もちろん拳法の使い手がいるわけではありません。
佐倉藩四代目の藩主、土井利勝公のご両親と奥様の供養塔である宝篋印塔(ほうきょういんとう)がたっているので、いつかは当ブログで紹介したいと思っておりました。
佐倉駅の方面から国道296号線を東に坂を上ると、左手に佐倉高校があります。佐倉高校正門に近い信号機を右に折れて300mくらい行ったところにあります。
現場にあった説明用の白い塔に書かれた内容によると、中央の塔が利勝公の母、左が父である土井利昌公、右側が利勝公の正室のものだそうです。
1630年、利勝公ご母堂の三十三回忌の法要にあわせ建立した、とあります。ご両親のお墓は、当初は愛知県岡崎市にあったそうですが、寛永年間に松林寺に改葬されたようです。
ちなみに、土井利勝公ご自身の墓は、茨城県古河市大手町にある利勝山正定寺(しょうじょうじ)にあるそうです。木更津にある證誠寺とヨミは同じですが、狸が出てきてぽんぽこやっているわけではないようです。
元へ。なんと、この写真にある宝篋印塔は、2011年3月11日におきた東日本大震災の折、倒壊してしまったそうです。そこで、現状復旧工事の際、佐倉市教育委員会が発掘調査をしたところ、利勝夫人の石塔直下から、火葬骨を埋納した備前焼の甕が出てきたとのこと。小柄で華奢な若い女性のお骨であったそうで、 おそらく夫人のものであったろうと推定されるようです。利勝公の奥様は、若くして亡くなられたのでしょうか。
なお、このお寺に所蔵されていた古い絵図にも、境内の同じ場所にこの三基の石塔が描かれているそうで、江戸の昔からほとんど同じ場所に建てられていたことがわかるとのこと。

ちなみに、土井利勝公といえば、徳川家康公のご落胤説もある江戸初期の大大名です。
幼いころは二代将軍秀忠公の傅役で、長じては老中になります。三代将軍家光公の時代には当時辣腕を振るっていた本多正純公が失脚したことで、幕府の最高実力者と呼ばれるまでになります。
この方、なんとあの関ヶ原の合戦の折、有名な真田の抵抗にあって信州上田城で足止めをくってしまった秀忠公に付き従って従軍した経歴を持ちます。結果、関ヶ原の合戦に間に合わず家康公が怒ってしまったというあの話の、怒られる側にいた人物ですね。
佐倉藩3万2000石で利勝公が佐倉に入ったのが1610年ですから、将軍秀忠も大御所家康(没年1616年)も健在だった時代に、佐倉藩に入ったことになります。
利勝公が佐倉藩でおこなった最大の功績は、なんといってもあの「名城」佐倉城を作ったことでしょう。じゃ、佐倉藩の初代から三代までの武田家、松平(長沢) 家、小笠原家が執務した藩庁はどこだったのか?というのが気になるところですが、しっかりした資料がないうえに、この三代の藩主はみな数年で移封、転封をしてしまったので、よくわからないようです。
さておき、利勝公が佐倉藩の藩主であったのは1633年までで、最後には今の茨城県の古河藩藩主としてその生涯を終えます。没年1644年。
そんな理由で、利勝公のお墓は茨城県古河市大手町の利勝山正定寺にある、というわけですね。

さて、長い前置きになってしまいましたが、お寺の本堂の写真です。「ちばの観光まるごと紹介」というサイトでは
『本堂は、土井利勝が春日局に譲り受けた「聖観音像」を、安置する為に建てた観音堂です。』とあります。確かに、普通のお寺とちがって、ともすると古民家の趣きすらある感じで、境内には少々入りずらい雰囲気。かつて権勢を誇った土井家の菩提寺としては、ずいぶんひっそりとした印象があります。
正面向かって左側の土塁の上に、威風堂々といった風情で巨木が立ち並んでいました。樹種は不勉強につきよくわかりませんが、シイやケヤキでしょうか。樹齢は数百年はあるように見えました。まさか、利勝公の時代のもの?なんて思わせるに十分な風格です。

宝篋印塔の右側にあったお地蔵さんや庚申塔など。この写真の一番手前に写っている石塔は、たぶん庚申塔だと思うのですが、青面金剛の下に邪気も三猿もいないのでもしかしたらちがうかもしれません。
背面には、ほとんど読み取れないほど風化した彫文字で「文化八年未年 七月廿六日」とありました。西暦にすると、1811年9月2日。佐倉藩では、堀田正時公が亡くなった年です。
堀田正睦公御年満一歳。なんとも、感慨深いです。

このお寺、ひそかに佐倉七福神めぐりの札所(?)であるようです。松林寺は毘沙門天とのこと。この近くの甚大寺も毘沙門天?えぇっと、どうなっているのでしょう。今度、調べてアップしますね。

立札のイラストは、なんとあの佐倉市の誇るタレント、車だん吉さんが描かれているようです。「お笑い漫画道場」懐かしいぜ、なんて言うと年齢がばれますか。今年で、43歳になります。ふぅ。

というわけで、だん吉こもんのおまけコーナーでした。

下に、撮った写真をアップしておきます。画像をクリックすると大きくなります。興味のある方は、ご覧下さい。

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